昨年の最優秀短距離馬に輝いた女傑。前走・大阪杯(G1)は初の2000Mで道悪も重なり4着に終わったものの、主戦場のマイル(5.0.1.1)なら巻き返しは必至だ。東京コースでは昨年の安田記念(G1)でアーモンドアイ(G1・9勝)に快勝。ひと叩きされ順当に良化気配を見せており、牝馬同士なら不動の中心だ。

一昨年の阪神JF(G1)をレコードで逃げ切るなど、デビュー以来(4.3.1.1)。前走・高松宮記念(G1)は惜しくもクビ差の2着に敗れたが、初の1200Mや道悪に対応して能力の高さを改めて示した。距離延長は歓迎で、良馬場なら持ち前のスピードも存分に発揮できる。2度目のG1制覇へ万全の態勢で挑む。

前哨戦の阪神牝馬S(G2)を制し、2連勝で初の重賞制覇。出遅れて後方からの競馬となったものの、上がり3ハロン32秒5の末脚で鮮やかに差し切った。ディープインパクト産駒らしい瞬発力があり、初めてのマイルにも難なく対応。まだキャリア7戦と伸びしろも大きく、勢いのまま一気の戴冠を目指す。

牝馬路線の充実を図る目的で、2006年に新設された古馬牝馬による春の最強馬決定戦。レース名の「ヴィクトリア(Victoria)」は、ローマ神話に登場する勝利の女神のこと。一昨年からブリーダーズカップ・チャレンジ(米国)の対象競走に指定され、優勝馬にその年のブリーダーズカップ・フィリー&メアターフへの優先出走権が与えられる。

過去10年、連対馬は2−1、4−7、1−12、11−3、5−12、7−1、6−11、8−1、5−4、1−4番人気の組み合わせで決まった。1番人気は2勝2着3回とアテにならず、2、3番人気もそれぞれ1連対と絶不調。代わりに、6〜12番人気から8頭の伏兵馬が連に食い込んでいる。

馬連配当は
3 け た......2回
3000円台...2回
4000円台...1回
5000円台...1回
8000円台...2回
万 馬 券......2回

15年に5、12番人気で決まって3万6880円の波乱となり、17年にも4万2710円の万馬券が飛び出す大荒れ。人気薄馬の台頭が珍しくなく、難解な牝馬限定のG1となっている。

一方、3連単配当は3620円、7万円台、19万円台、40万円台、2070万円台、4万円台、91万円台、6万円台、17万円台、7340円。こちらも15年にG1史上最高配当2070万を記録し、ほかにも10万円を超す高配当が続出。穴党には見逃せないレースとなっている。ちなみに3着は3、3、5、6、18、2、7、7、11、5番人気が入線している。

路線別(着順)は阪神牝馬S(14、11、9、2、2、5、3、1着)組が8連対でトップ。3連対で中山牝馬S(5、11、7着)組が続き、2連対の大阪杯(6、7着)組の順。上記3路線が有力で、そこでの成績に関係なく巻き返しが可能となっている。

年齢別は4〜7歳以上馬が80、63、27、6頭出走して、11、6、2、1連対。連対率はそれぞれ14、10、7、17%。連対数で4歳馬が他世代を大きくリードしている。

関東馬63頭と関西馬113頭で争った東西対決は、7対13。連対率は11、12%。関東馬は連対数で見劣るものの、目下19、20年と2連勝中で、率もほぼ互角となっている。

また、枠別の成績を見てみると、内の1〜4枠が【4.3.7.65】(1〜3着、着外)、外の5〜8枠は【6.7.3.81】(同)。1、2着馬は外枠が有利となっているが、馬券対象の3着以内で集計すると14頭対16頭。枠の内外による有利不利はあまり気にしなくてもなさそうだ。(たま)


◎......マジックキャッスルはこのレースと好相性の阪神牝馬Sでクビ差の2着。直線スムーズに追えないシーンがありながら、上がり32秒4の鬼脚で追い上げた。2000Mで重賞初制覇を果たしたが、父ディープインパクト譲りの決め手を存分に発揮するにはマイルが一番。薫風が吹く府中でG1奪取を決める。

○......相手はグランアレグリア。前走・大阪杯で4着に敗れたが、4カ月半ぶり、初距離、さらに得意とはいえない道悪で掲示板を確保したのは流石だった。マイルは桜花賞、安田記念、マイルチャンピオンSを含め5勝と得意の距離。あっさりと勝たれても仕方がない実力馬だが、負荷の大きかった前走の激走が気になり〇とした。
▲......レテステンシアもスピードは見劣らない。19年にJRA賞最優秀2歳牝馬を受賞。昨年は桜花賞、NHKマイルCの2着が最高で未勝利に終わったが、今年初戦の阪急杯をレコードで逃げ切り勝ち。初距離の前走・高松宮記念でもクビ差2着に健闘した。同型馬の出方がカギとなるが、本来マイルが得意だ。

△1......テルツェットは昨夏の新潟1勝クラスから4連勝でダービー卿チャレンジTを制覇。マイルに転じて4戦4勝と底を見せておらず、左回りは3戦すべて上がり3ハロン最速をマークしている。これだけ強いメンバーと走るのは初めてとなるが、勢いは一番。G1初制覇を狙える資質を備えている。

△2......サウンドキアラは19年7着、20年2着に続いての参戦となる。3連勝で挑んだ昨年のような勢いこそないものの、当時とは違った高いレベルでもまれてきた経験が今年はある。牝馬同士なら地力上位は明らかで、マイルも5勝と得意。唯一の6歳馬の3度目の正直に警戒したい。

△3......昨年デゼルはデビュー戦、スイートピーSと2連勝。続くオークスではG1の壁に跳ね返されたが、今年3勝クラスを快勝して改めてオープン入り。前走の阪神牝馬Sで重賞初制覇を飾った。初のマイルで勝利したように距離適性は高く、直線の長い東京も歓迎。流れひとつで上位争いに浮上する。