前走のヴィクトリアマイル(G1)は自慢の末脚が不発に終わり,8着まで。スローペースで外々を回らされるなど,展開も向かなかったが,やはり7カ月ぶりの影響が大きかったのだろう。昨年のフローラS(G2)を制し,オークス(G1)2着,秋華賞(G1)4着など,このメンバーでは断然の実績。大幅に相手関係が楽になる今回,2ハロンの距離延長も歓迎とあって,ここは負けられない一戦だ。

なかなか勝ちきれないレースが続いているが,3走前の京都牝馬S(G3)でアドマイヤキッスからクビ差の2着に入り,前々走の福島牝馬S(G3)でも0秒1差の3着に好走。前走のスプリングC(G2)は距離が短く,牡馬の一線級が相手だったが,それでも0秒6差の7着に入ってくるのだから,牝馬限定戦に戻れば力は上だろう。忘れな草賞(OP)勝ちの実績を持つ舞台で,巻き返しの期待は十分とみる。

昨年のクラシック戦線では力不足の印象だったが,前々走の1000万クラス平場戦を快勝すると,前走のパールS(準OP)も勝って2連勝。ともに完勝と言えるレースぶりで,ここにきて大幅に力を付けてきたようだ。重賞の今回は相手も強くなってくるが,今の勢いと53キロの軽ハンデを考えれば,決して侮れない存在だろう。

06年に別定戦からハンデ戦に条件が変更され,開催日程も3週繰り上がった(06年は京都開催)。

過去10年の連対馬は,1??5番人気の5,7,3,2,2頭と9番人気の1頭。1,2番人気は計12連対と期待に応えて,06年を除けばどちらかが必ず連に絡んでいる。

馬連配当は06年に9番人気のソリッドプラチナムが優勝して5360円と荒れたが,9回は2000円以下。牝馬重賞でも波乱度は低い。

05年まではクラシック級の実力馬が顔をそろえ,98年を除くと,連対馬のどちらか1頭は必ず重賞ウイナーだった。しかし,ここ2年は(オープン特別,1600万下)組と(1600万下,重賞)組で決まり,連対した4頭はすべて重賞未勝利馬。別定戦からハンデ戦に移った06年を境にレースの質が変わり,実績不足はハンデ差で補える傾向を見せている。ちなみに,ハンデは(49,51)キロと(53,54)キロだった。


◎…ザレマは今年,京都牝馬S2着,福島牝馬S3着,京王杯スプリングC7着。牡馬相手の前走で苦戦したが,牝馬同士なら胸を張れる。距離延長,54キロのハンデなら重賞初制覇のVチャンスだ。

○…ブリトマルティスは1000万下,1600万下を連勝中。実績馬相手で楽なレースは望めないが,上昇度は一番。53キロのハンデを生かし切れば逆転もある。

▲…ベッラレイアはオークス2着,秋華賞4着で,阪神のローズSではダイワスカーレットに半馬身差まで迫った。前走のヴィクトリアマイルは7カ月ぶりで8着に敗ぶれたが,能力は断然。56キロのハンデを克服できれば勝てる。

△1…前走の烏丸Sでソリッドプラチナムは1番人気を裏切って7着。取消し後の影響よりも,牝馬には55．5キロのハンデが厳しかった。53キロ,たたき2戦目で一変が期待できる。

△2…ウインシンシアの芝2勝は中京の2000M。前走で1000万下を勝ち上がったばかりで,実績では見劣るが50キロのハンデは裸同然。直線の末脚勝負になれば出番もある。