昨年はトライアルの勝ち馬がくるくると変わる混戦で本番を迎えたが,今年はウオッカ,ダイワスカーレット,アストンマーチャンの3強対決ムード。中でも注目は2歳女王で目下3連勝のウオッカだ。結果次第ではダービーで牡馬に挑戦するプランも持ち上がっている。
過去10年のデータでレース傾向を見てみたい。
1番人気は3勝,2着2回ではほめられる成績でなく,2,3番人気も4,1連対と元気がない。上位人気馬は不振で,代わりに6番人気以下から7頭が連対している。02年に馬連で3万4440円が飛び出したが,残る9回中7回は3000円台以内。荒れるといわれる牝馬重賞でも意外と波乱度は低い。
連対馬20頭中18頭は前走重賞からの出走で,残る2頭がオープン特別と500万下。路線別はチューリップ賞組が9連対で,フィリーズレビュー(旧4歳牝馬特別を含む)組5連対,フラワーC組3連対の順。なお,最多連対を果たしているチューリップ賞1着馬の本番での成績は,5,11,9,9,1,5,6,5,6,2着。優勝したのは01年のテイエムオーシャン1頭だけ。今年のチューリップ賞馬ウオッカにとっては気がかりなデータだ。
連対馬20頭は3??8戦上のキャリアで,それぞれ5,6,3,2,2,2連対。キャリア3戦と4戦で半数以上の11頭を占めている。
勝利数は地方から転きゅうしたアローキャリー(02年)を除くと,1勝馬が2頭,2勝馬8頭,3勝馬6頭,4勝馬3頭。連対率1割の1勝馬にはハードルが高く,2勝以上を挙げていることが理想となっている。
◎…ダイワスカーレットは約2カぶりの前走チューリップ賞で2着。3コーナーで早め先頭に立ち,直線でウオッカを待って一緒に追い出したが最後の最後に競り負けた。着差クビは体調の良しあしや展開ひとつで楽に逆転できる差。牡馬一線級を相手にもまれてきた経験は大きな強み。「桜の女王」奪取のチャンスは十分にある。
○…ウオッカは3戦連続で芝1600Mを1分33秒台で快勝。上がりもすべてレース最速で,「桜の女王」に王手をかけている。スピード,パワーで圧勝されても仕方のないが,今回は出走17頭の目標になる厳しい競馬となる。さらに,四位騎手のプレッシャーはただものではないはず。馬券的な妙味を考慮すれば2番評価が妥当とした。
▲…ショウナンタレントは6戦して,3勝,2着2回。5連対はすべて逃げた時のもので,ハナを奪うと実にしぶとい。菜の花賞でイクスキューズを破り,前走のフラワーCで重賞制覇を果たし実績もある。有力3頭が外枠にそろって入り,けん制し合う展開になればアッといわせるシーンはある。
△1…アストンマーチャンは休養明けの前走でフィリーズレビューを楽勝した。スピードが身上で短距離向きだが,阪神JFでもウオッカとクビ差2着の接線を繰り広げている。距離延長は好材料といえないが,互角のスピードを秘めている。
△2…船橋競馬のエミーズスマイルは中央で3,1,1着。負けた赤松賞はスローの4コーナー最後方から追い込んでタイム差なしの3着。前走アネモネSも終始外々を回って差し切るという強い競馬だった。実績で一歩譲るが,時計のかかる馬場になれば一気に上位争いに浮上する。
△3…前走クイーンCでイクスキューズは,好位3番手から直線楽々と抜け出した。レースを重ねるごとに気性面が成長し,同時にパワーを増している。暮れの阪神JFでウオッカにつけられた0秒7差の逆転は無理でも2着争いには警戒したい。