サラブレッドにとってクラシックは一生一度の晴れ舞台。中でもダービーは競馬にかかわる人々にとっては格別な思いのレースとなっている。04年に誕生したサラブレッド8470頭の頂点立つのはどの馬か。過去10回のデータからレース傾向を探ってみた。
1番人気は7勝,2着2回と抜群の成績で,連から消えたのは97年のメジロブライト1頭だけ。ただ同馬も3着には踏みとどまっており,1番人気が馬券対象から外れたことはない。
馬連配当は98年に14番人気が2着に飛び込んで万馬の券決着となったが,9回は3けた配当6回と1000??4000円台3回。上位人気の活躍で波乱度は低い。
連対馬20頭の前走はすべて重賞で,その時の成績は,1着が13頭,2着1頭,3着4頭,6着2頭。路線別は皐月賞組が11連対でトップ。京都新聞杯組と青葉賞組が3連対,NHKマイルC組が2連対となっている。なお,前走で掲示板を外した2頭はいずれも皐月賞からの参戦馬だった。
勝利数は1??4勝上馬が12,63,82,22頭出走して,それぞれ0,2,11,7連対。1勝馬の連対はなく,2勝馬も連対率3.2%ではアテにしづらい。狙いは3勝以上としたい。
キャリアは4戦から11戦の範囲で幅広く連対。3戦以下のキャリアでなければ問題なさそうだ。ただ,年明けのローテーションを見ると,連対馬の20頭中19頭までが2??5戦。3歳になって6戦以上消化した馬は減点となる。
◎…アドマイヤオーラは前走,皐月賞でレース最速タイの上がり33秒9の末脚で4着。スタートでダッシュがつかず,直線でも一瞬前をカットされる不利がありながら0秒2差まで追い上げた。前の止まらない流れで結果的には脚を余したが,重賞2勝馬の意地は見せた。弥生賞を差し切った決め手から2400Mも守備範囲。不完全燃焼で1冠を逸した前走のリベンジを大舞台で果たす。
○…桜花賞2着のウオッカがオークスを蹴ってダービーに挑戦する。データでは分が悪いが,マイルで1分33秒台の時計を4回記録し,上がりも33秒5と世代トップ級の素質馬というだけでなく,歴代の牝馬と比べても上位にランクできる資質を秘めている。牡馬より2キロ軽い55キロは有利。桜花賞は1番人気のプレッシャーがあったが,今度はチャレンジャーの気楽さ。完成度の高さからも好勝負になる。
▲…前走の皐月賞でフサイチホウオーは大外から追い込んでハナ,ハナ差の3着。エンジンのかかりが遅く差し切れなかったが,3歳世代でトップ級の末脚と勝負強さを備えている。4勝で白星は止まったが,今度は3戦3勝の東京が舞台。馬群をさばければ巻き返せる。
△1…ドリームジャーニーは皐月賞で行き脚がつかず最後方からの競馬。道中外々を回るコースロスがありながら直線大外から追い込んで0秒6差まで迫った。昨年の朝日杯FSで一度は頂点に立った実力馬。前走は前残りの展開に泣いたが,はまれば一発が決まる。
△2…前走の京都新聞杯をタスカータソルテは中団から鮮やかに差し切った。今回主戦の岩田康から武豊にスイッチするが,ダービー4勝の天才騎手なら乗り替わりに全く不満はない。京都新聞杯が春に移行して今年8年目。同レースをステップに参戦した馬は過去7年で,1勝,2着2回と好成績を残している。末脚勝負なら引けは取らない。
△3…ヒラボクロイヤルは年が明けた今年,1,2,1,2,1着。昨年の未勝利が信じられないような快進撃を続けている。2走前の毎日杯で2着になったが,皐月賞出走を見送ってダービーに的を絞った。前走でトライアルの青葉賞を計算どおり快勝して本番に駒を進めてきた。本番と同条件,同舞台を経験したことは大きな強み。父タニノギムレット譲りの末脚がさく裂すれば上位争いに食い込める。