春のG1シリーズの開幕を告げるスプリント王決定戦。98年に「高松宮杯」から「高松宮記念」にレース名が変わり,00年に開催が5月から3月に繰り上がった。
今年は短距離戦線の勝ち馬がころころと変わっているように,出走馬18頭すべてにチャンスのある難解な一戦となった。ここでは過去6年のデータでレース傾向を見てみたい。
上位1??4番人気が2,3,3,2連対と好調で,伏兵馬の連対は6,8番人気の各1頭だけ。しかし,馬連は00年に1万6330円と荒れ,昨年も6880円の高配当が出ており,人気薄にも警戒が必要だ。
連対馬の前走は重賞11頭とオープン特別1頭。路線別は阪急杯組(芝1200M)が6年連続で8連対と抜群の相性を見せている。ただ,今年からこの組の距離が1400Mに変更になり,中山で行われていたオーシャンSがオープンからG3に昇格した。中心馬不在の難解な一戦に,ステップレースの条件変更がさらに拍車をかけそうだ。
連対馬の12頭中11頭はG1に出走経験があり,うち4頭は優勝馬だった。また,重賞未勝利のディヴァインライトとショウナンカンプを除くと,10頭は芝の重賞で2勝以上を挙げていた。G1経験のない馬や重賞勝ちしていない馬は減点になる。
年齢別は4??7歳上馬が,32,29,29,17頭出走して2,6,3,1連対。5歳馬が連対数の半数を占め,率でも他世代を圧倒している。性別は牡馬が82頭出走して11連対し,牝馬が25頭で1連対。牝馬は02年のスプリンターズSを制したビリーヴ(G1)1頭のみとなってといる。
関東馬,関西馬,地方馬,外国馬が,それぞれ39,65,1,2頭で争って,8,4,0,0連対。連対数で関西馬がトップに立っているが,率では関東馬も遜色ない。
◎…ラインクラフトは昨年の春に,桜花賞とNHKマイルCを勝って史上初の変則2冠を制覇した。3カ月ぶりの出走となるが,仕上がり早の牝馬で,過去2度の休養明けも1,2着と鉄砲実績がある。未経験の1200Mでもスピードで押し切る可能戦は十分にある。
○…昨年のテレビ愛知オープンでシーイズトウショウは,前半3ハロンを32秒8のハイラップで飛ばし,1分6秒7のレコードで快勝した。中京コースとの相性は抜群で,03年のCBC賞を勝ち,昨年も好位から差してアタマ+クビ差3着。前走18キロ減だった体調さえ回復していればV争いは必至だ。
▲…シンボリグランは前走のオーシャンSで出遅れて後方からの競馬になったが,直線,内からレース最速の上がり34秒2の強烈な末脚で3着。58キロを背負っているとは思えない鋭い切れ味を見せつけた。芝の6F戦は2勝,2着1回,3着2回。ベストの距離でG1奪取を目指す。
△1…リミットレスビッドは前走フェブラリーSで11着に敗退した。発馬ミスで後手に回り,マイルの距離も少し長かった。ガーネットS,根岸Sの重賞連覇でダートのイメージが強いが,もともとは芝で好走していた短距離馬。良馬場で得意の1200Mなら目が離せない。
△2…タマモホットプレイは直線のたたき合いを制してのシルクロードSを快勝した。勢いに乗って連勝を狙ったが,直線で全く伸びず9着。道悪はからっぺたということがはっきりした。あくまで良馬場が条件になるが,はまると33秒台の末脚がさく裂する。
△3…マルカキセキは3走前のCBC賞で0秒2差の5着。スタートで後手に回ったが,道中でじっくり構えて,4コーナー最後方からインを突いて強襲した。ここ2戦は道悪に末脚をそがれているが,良馬場の決め手比べなら上位争いに食い込める。