ディープインパクトの出走回避で有力馬がひしめく大混戦となったが,馬券的には俄然面白くなった。過去10年のレースを参照に傾向を探ってみたい(02年は中山競馬)。
1番人気は3勝2着3回。連対率6割はまずまずの成績で,連対馬の20頭中16頭も5番人気以内で占めている。一方で,12??14番人気の伏兵馬3頭が連に食い込み,馬連万馬券が3回出ている。
連対馬で前走1着だったのは10頭だったが,5着以下は99年の1,2着馬のみ。前走で掲示板を確保していることが連対条件となっている。
路線別は京都大賞典組が7連対で,宝塚記念,毎日王冠,札幌記念組が2連対で続いている。ただ,2走前を見ると,宝塚記念に出走していた馬が10頭おり,これを合わせるとこの組は計12連対。前哨戦としては京都大賞典組が好相性を見せているが,宝塚記念出走組にも注意が必要だ。
年齢別は3??7歳上馬が12,56,53,27,14頭出走して,3,10,5,1,1連対。また,連対率は25.0%,17.9%,9.4%,3.7%,7.1%。連対数で4歳馬,率で3歳馬が他世代をリードしている。しかし,今年は7歳以上のベテラン勢が大活躍し,JRA年間重賞勝利(平地のみ)で過去最多の12勝をすでにマークしている。ここではファストタテヤマ,ローエングリン,アサクサデンエンが該当。高齢馬からも目が離せない。
◎……ローエングリンは毎日王冠で1馬身半差の3着。ここ2戦の関屋記念,京成杯AHに続いて差のない首位争いを繰り広げた。前走はいつもより早めに好位に進出したが,最後までしぶとく伸びた。7歳馬でも全く衰えを見せておらず,展開ひとつで突き抜ける地力を備えている。
○……コスモバルクは前走オールカマーで馬群の中で折り合い,直線インから伸びてハナ差2着。3年目の挑戦で天皇賞(秋)へ出走権を獲得した。2000Mは3勝,2着1回と連対率10割。一昨年のジャパンC2着で,今年は国際G1を勝っている。地方馬所属の天皇賞初制覇のチャンスだ。
▲……前走オールカマーでスウィフトカレントはハナ+クビ+ハナ差の4着。手応え十分で直線を向いたが,前が壁になる不利で脚を余した。今年から新設された「サマー2000シリーズ」の初代王者で,この夏一番の上がり馬。G1実績では一歩譲るが,ここでも十分通じる能力を秘めている。
△1……スイープトウショウは約1年ぶりの京都大賞典で内から鋭く伸びて差し切った。スローペースとはいえ,牡馬の一線級を上がり32秒8で破った破壊力は目を見張るものがあった。長期休み明け2戦目の反動は気になるが,勝てばG1・4勝で,獲得賞金ではエアグルーヴに次ぐ牝馬歴代2位にランクする。
△2……アドマイヤムーンは皐月賞4着,ダービー7着。春のクラシックで一歩届かなかったが,札幌記念で上がり33秒5の豪脚で古馬を一蹴した。ここへのローテーションは97年のエアグルーヴ,昨年のヘヴンリーロマンスと同じ。斤量は2キロ増となるが,決め手勝負になれば首位争いに浮上する。
△3……前走の毎日王冠でダンスインザムードはクビ差の2着。今年はヴィクトリアマイル(G1)を勝ち,米国のマイルG3を快勝した。距離はマイル前後がベストだが,天皇賞(秋)も2,3着の実績。勝たれても不思議のない能力を備えている。