前々走の高松宮記念(G1)こそ勝ち馬にクビ差届かなかったものの,久々に加え牡馬相手での結果。続く前走の阪神牝馬S(G2)での後続に0秒5差つける完勝劇こそが当馬本来の実力であり,短距離戦においては牝馬同士ならば一枚も二枚も力が抜けているのは明白。安田記念があとに控えているにせよ,忘れてならないのが前走は叩き台で,当レースこそが当馬にとって春の大目標。前走から2キロ減の斤量も明らかに有利で,さらにデキも前走以上なれば,初代牝馬マイル女王の座へ視界は良好だ。

前走の阪神牝馬Sは本命馬に完敗といえる2着までも,3着へ0秒6差つけているように,牝馬同士なら当馬も間違いなくトップクラス。ここも引き続き本命馬と戦うことになるが,当馬のベストは中距離であり,マイルは明らかに本命馬の守備範囲。1ハロン延長,オークスで2着している東京コースへの舞台移動はプラス材料といえるが,逆転はかなり難しいと考えられるだけに,ここは対抗までが妥当な判断か。

阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)を制し2歳女王に輝いた,メンバーの中では数少ないG1ウイナー。ここは中山牝馬S(G3)快勝以来のレースとなるも,長期休養明けだった4走前のエリザベス女王杯(G1)で4着しているように久々は全く苦にしないタイプ。順調にここへ駒を進めた本命馬,対抗馬より確かに評価は落ちるが,前走から1キロ減の斤量,オークス5着の東京コース適正を考えると上位争いへの期待は十分といえよう。

今年から新設された古馬牝馬の芝1600MのG1レース。第1回開催のため,過去データによるレース展望は割愛しました。

◎…前走マイラーズCでディアデラノビアは中団待機からレース最速の上がりで追い込んだが3着止まり。前半1000Mの通過が61秒3とスローの流れを考えれば悲観する内容ではない。フローラSを勝ち,オークス3着の実績のある東京に替わるのは好都合で,末脚をさく裂させるには不足のない舞台だ。

○…ラインクラフトは高松宮記念でクビ差2着に健闘し,前走の阪神牝馬Sで2着エアメサイアを3馬身ちぎって圧勝した。東京コースはNHKマイルCを快勝した自信の舞台で,3度目のG1勝利のチャンスは十分ある。ただ,ここ2走を見ると短距離馬といってもスプリンター色が濃くなりつつあり,折り合い面でやや心配はある。


▲…エアメサイアが阪神牝馬Sでラインクラフトの2着に敗れたのは,1400Mへの距離適性の差だろう。現時点のベストの距離は秋華賞を制した2000Mと思われるが,マイルでも新馬とエルフィンSで2勝を挙げている。道悪は苦にしないタイプで,武豊の手綱さばきで逆転するチャンスはある。

△1…ダンスインザムードは一昨年4連勝で桜花賞を制覇した素質馬。その後勝ち星からは見放されているが,牡馬に混じって天皇賞(秋)で2,3着。前走のマイルCSでも0秒1差の2着と能力の高さを見せてきた。たたき2戦目,得意のマイルではじけても驚けない。

△2…大器ヤマニンシュクルが中山牝馬Sで,03年の阪神ジュベナイルF以来,2年3カ月ぶりの勝利を飾って完全復活した。前走見せた直線一気の末脚は,このメンバーではおそらく1,2を争う切れ味だろう。2カ月ぶりは気になる材料だが,あの脚を再度使えれば突き抜けても不思議はない。

△3…ヤマニンアラバスタは昨年の新潟記念,府中牝馬Sと左回りで重賞を連勝。その時の上がり3ハロンは33秒3と33秒2と強烈だった。その後3戦は右回りで結果を出せずにいるが,今回は久々の左回り。実績では一歩譲るが,前が止まる流れなら一気に首位戦線に浮上する。