春のG1シリーズを締めくくるグランプリ「第46回宝塚記念」。昨年の最優秀年度代表馬ゼンノロブロイ,連覇を目指すタップダンスシチーの2強対決ムード。しかし,過去9年で6カ月の休養馬が連対したことはなく,JRA史上で8歳馬のG1制覇は一度もない。人気2頭に付け入るスキはないのか。阪神競馬場で行われた過去9回のデータでレース傾向を分析してみた。
1番人気は6勝,2着2回で信頼度は抜群だが,2,3番人気は2,1連対と不振。代わりに6番人気以下から5頭が連に絡んでいる。馬連は1番人気が連から消えた03年に万馬券が出てたが,7回は2000円以内。大半は人気サイドで収まっている。
連対馬の前走はG1組が10頭,G2組8頭で,そこでの成績は全馬5着以内。前哨戦で掲示板を外した馬やG3戦以下からの参戦馬は減点が必要か。路線別は8連対の天皇賞(春)組がトップで,金鯱賞組6連対,安田記念組2連対の順。出走間隔は連対馬18頭すべてが中2週??10週以内。約6カ月で出走するゼンノロブロイには気になるデータだ。
年齢別は3??7歳上馬が0,12,5,0,1連対。勢いのある4歳馬が他世代をリードしている。7歳以上の1連対は昨年,タップダンスシチーが優勝してマークしたもの。基本的には高齢馬は苦戦している。牡馬107頭と牝馬10頭で争い,18対0。牝馬はエアグルーヴ,メジロドーベルなど,その時代のトップ級が挑戦してきたが,ここまで3着が最高成績となっている。
◎…トウショウナイトは重賞を未勝利ながらG1初挑戦の天皇賞(春)で4着と健闘した。一線級相手,スローペースの後方から馬群をさばいて0秒2差。勝ったスズカマンボと同じレース最速の上がり3ハロン34秒1をマークした。格下馬のイメージが強く人気薄だが,一戦ごとにパワーアップ。G1を制覇できる能力を十分備えている。
○…ハーツクライは前走天皇賞(春)は後方16番手から追走。直線大外からいい脚を見せたが5着止まり。スローの流れ,距離3200Mで力を出し切れなかった。阪神2200Mは実力を十分に発揮できる舞台。ダービー2着馬の破壊力に期待したい。
▲…リンカーンは春の天皇賞で2年連続1番人気に支持されたが,今年も6着と結果を出せなかった。内目の6番枠でスタート直後に外から次々とかぶされ,道中も流れに乗れなかった。それでも直線は外から鋭い伸びを見せて0秒6差まで追い上げた。阪神は3勝をマークしている得意のコース。鞍上に今年G1・4勝の福永騎手を配してビッグタイトル奪取を狙う。
△…タップダンスシチーは休み明けの金鯱賞で史上2頭目の平地同一重賞3連覇を達成した。平坦コースとはいえ,59キロを背負って後続に2馬身半差をつけて逃げ切った。8歳馬でも高齢を感じさせない力走を見せた。今回も単騎逃げに持ち込むだろうが,メンバー強化で後続のマークも当然きつくなる。「目標にされる不利」と,「8歳馬に連対なし」のデータから抑えの評価にした。
△…シルクフェイマスはG1で,2着1回,3着2回。戴冠にあと一歩のところで足踏みを続けている。原因は雨。馬場が湿るとノメって全く力を出し切れず敗退している。昨年のこのレースの2着馬。良馬場ならいつでも首位争いできる能力を秘めている。
△…ゼンノロブロイは昨年,天皇賞(秋),ジャパンC,有馬記念と3連勝。最優秀年度代表馬の栄誉に輝いた。実績一番は誰もが認めるところだが,何しろ6カ月ぶり。過去9年で中10週以上の出走間隔で連対した馬はゼロ。春の頂点レースを制覇するには順調さに欠けると見て押さえに回した。