2000年の番組改編でスプリンターズSがマイルCSよりも先に行われるようになって,各陣営の臨戦態勢に変化が現れた。過去5年のレースで傾向を見てみたい。
上位3番人気から毎年1頭は連に絡んでいるが,馬連が3けた配当で収まったことはない。00年に13番人気,02年には11番人気の伏兵馬が優勝し,馬連1万8050円と1万5530円の万馬券が飛び出している。
連対馬10頭すべてが重賞をステップに出走。路線別はスプリンターズSが3連対でトップ。天皇賞(秋),毎日王冠,富士Sが2連対で続いている。
人気の一角を占めるラインクラフトの秋華賞組は,00年にヤマカツスズラン(2着)が8番人気で14着,01年のムーンライトタンゴ(6着)は14番人気で17着。連対実績はないが,出走馬が2頭と少なく,人気馬にもならなかったことからデータは基準外と考えたい。
年齢別は3??6歳上馬が20,22,26,20頭出走して,3,4,2,1連対。世代間格差はなさそうだ。
牡馬VS牝馬は75頭と13頭で争い8対2。連対数で牡馬が大きくリードしているが,連対率の上では牝馬が逆に牡馬を大きく上回っている。連対10頭はすでに重賞ウイナーで,うち7頭はマイル重賞を勝っていた。なお,例外3頭のうち2頭はG1馬。重賞実績や距離適性も連対への大きなファクターとなる。
関東馬は28頭西下して3連対,関西馬が57頭で7連対。地の利を生かした関西馬が関東馬を圧倒している。
◎…ハットトリックは超スローの天皇賞(秋)で後方から追い込んで,メンバー最速の上がり32秒6の末脚で7着。実績のない2000M,先行有利の流れの中で0秒4差まで迫った。今春に京都金杯,東京新聞杯と1600Mの重賞を連勝したようにマイルは得意。引き続き名手・ペリエ騎手とのコンビ。G1初制覇のチャンスと見た。
○…相手は史上初の同一G1レース3連覇を目指すデュランダル。休養明けのスプリンターズSをたたいて臨むローテーションは昨年と同じ。その前走は完調手前ながら上がり32秒7の脚で2着。追い込み一辺倒だが,2走ボケがでなければ偉業達成のチャンスは十分にある。
▲…ラインクラフトは春に桜花賞,NHKマイルCを連勝した変則2冠馬。秋2戦のローズSと秋華賞は半馬身,クビ差の2着と敗れたが,2000Mは微妙に長かったようだ。3歳世代トップの破壊力と瞬発力を秘めていることは明らか。古馬相手でも首位争いは可能だ。
△…テレグノシスは天皇賞(秋)で14着に敗れた。前半1000M通過が62秒4のスローの流れで脚を余していた。2けた着順の惨敗だが,着差は0秒8。2000Mでもやれるとの判断だったが,結果的には距離が長かったようだ。ベストの距離は1600??1800M。展開が向けば一気に上位争いへ浮上する。
△…昨年,ダンスインザムードは天皇賞(秋)2着をステップにマイルチャンピオンC2着。今年は前半パッとしない成績だったが,前走の天皇賞(秋)3着で復活を告げる走りを見せた。マイル戦は5戦して3勝,2着1回。連対率は8割と得意にしている。桜花賞馬の底力は軽視できない。
△…ダイワメジャーは秋始動の毎日王冠で0秒5差の5着。流れが向かずに力を出し切れなかったが,皐月賞馬の地力を見せた。春にマイル重賞のダービー卿CTをトップハンデで勝って,続く安田記念でも0秒5差に健闘している。人気はないが大駆けがあっても驚けない素質馬だ。