00年に開催時期が2週繰り上がり,トライアルの日程も大幅に変更となった。ここでは過去5回のレースで傾向を探ってみたい。
連対馬は2??3,6??11,10??16,5??4,8??4番人気の組み合わせで決着した。1番人の連対はなく,過去10年にさかのぼっても1勝,2着1回。1番人気にとって鬼門のレースとなっている。一方,6番人気以下の伏兵馬が5頭も連に絡み,馬連の5回中3回が万馬券決着となる大荒れとなっている。
連対馬の前走はG2組8頭と1000万下2頭。路線別は神戸新聞杯組が4連対でトップ。次いでセントライト記念組が3連対で追っている。
連対馬の10頭中6頭は皐月賞かダービーに出走していたが,そこで連対して菊花賞でも連に絡んだのは00年のエアシャカール1頭。クラシック経験馬が連対数で一歩リードしているが,優勝馬を見ると,経験馬2勝に対して未経験馬が3勝。優勝回数では未経験馬が勝っている。
関東馬は22頭出走して,1勝,2着2回,3着0回。関西馬が65頭出走して4勝,2着3回,3着5回。関西馬が関東馬を圧倒している。
日本の競馬に「3冠」の体系が整った39年以来,3レースに出走可能だった馬は約30万頭いた。この中から菊花賞で3冠を目指した馬はわずか12頭で,そのうち無敗のまま菊花賞に挑戦したのはシンボリルドルフと92年のミホノブルボン(2着)の2頭だけ。そして,見事3冠馬の栄誉に輝いたのは,セントライト(41年),シンザン(64年),ミスターシービー(83年),シンボリルドルフ(84年),ナリタブライアン(94年)の5頭だった。6戦6勝のディープインパクトが勝てば,84年のシンボリルドルフ以来史上2頭目の「無敗3冠馬」が誕生する。ちなみに,菊花賞は今年「第66回」を迎えるが,ゾロ目の「第44回」はミスターシービーが,「第55回」にはナリタブライアンが3冠達成というデータもある。
さて,秋G1シリーズ2戦の馬連配当は,スプリンターズSが430円。秋華賞がG1史上最低の180円と堅く,今回もディープインパクトの1強ムードで穴党の出番は遠そうだが,競馬に絶対はない。
◎…ここは思い切ってアドマイヤフジで勝負する。春のクラシック皐月賞で5着,ダービー4着で潜在能力の高さを証明し,秋初戦のセントライト記念でも4着と好走している。母アドマイヤラピスは牝馬ながら平地最長距離3600MのステイヤーズS(97年)で2着。ほかにも2500MのセプテンバーS,3000Mの嵐山Sを連勝した。母から受け継いだステイヤーの血脈が淀の長距離戦で爆発するはずだ。
○…相手はディープインパクト。強さをいまさら解説する必要はないが,1番人気の不振はやはり気になるデータ。しかし,一方で,ゾロ目の開催年に2頭の3冠馬が誕生している追い風もある。「無敗3冠馬」が誕生すれば素直に拍手で祝福したい。
▲…ローゼンクロイツは前走神戸新聞杯で3着に食い込んだ。直線で外を回って追い込んだ分,シックスセンスに2着を譲ったが,内を突いていれば際どい勝負になっていた。長距離輸送のない地元関西では6戦して,3勝,2着2回,3着1回とすべて馬券圏内に収まっている。流れひとつで勝ち負けになる。
△…シックスセンスは皐月賞2着,ダービー3着。G1で2戦とも馬券対象になり,前走の神戸新聞杯でも2着を確保した。好成績の割りに人気がいまいちだったのは,1勝馬ということと,追い込み馬で展開に左右されると見られたためか。人気薄でも2着争いの筆頭に推せる。
△…デビュー戦から2000M以上を意識して使われてきたフサイチアウステルにとって3000Mは望むところ。瞬発力勝負では苦しいが,先行してジワジワと伸びてくるスタミナと勝負強さは長距離戦で大きな武器になる。持久戦だけに連下に食い込むチャンスはある。
△…アドマイヤジャパンは弥生賞でディープインパクトのクビ差2着。ここまでインパクトに最も接近している。皐月賞3着後,2戦で大差負けしているが,世代トップ級の能力を秘めていることは間違いない。好位につけて積極的なレースを展開すれば活路を見出せるはずだ。