96年に創設された3歳牝馬による3冠最後のレース。過去9回のデータでレース傾向を探ってみた。
連対馬は5??3,1??2,2??14,12??10,10??7,1??2,1??3,2??1,2??5番人気の組み合わせで決まった。上位人気はまずまずの成績だが,2けた人気の伏兵馬も4連対と健闘している。馬連は99年に9万円馬券が飛び出し,ほかに3回も万馬券で決着している。ただ,3けた配当も4回あり,荒れるか堅いかの見極めが肝心となっている。
連対18頭の前走はG1・2頭,G2・12頭,G3・2頭と,1000万下(旧900万下)2頭。重賞組は2けた着順からでも巻き返しているが,条件組2頭はいずれも前哨戦を勝ち上がっていた。路線別はローズS組が11連対で,他路線を圧倒。2番手にクイーンS組が2連対で続いている。重賞実績を見てみると,春にクラシックで連対した馬が7連対。G1連対馬の貫禄を見せている。また,18頭中13頭はすでに重賞ウイナーで,99年に9万円馬券を演出した1,2着馬のステップもローズS,クイーンSの3着馬。重賞で馬券対象となっていることが,連対への条件といってもいい。
1勝馬は9頭出走しているが,ここまで連対馬は出ていない。2勝馬は70頭で3連対,3勝馬が60頭で7連対。4勝以上馬は23頭で8連対を果たしている。勝利数に比例して連対率が上昇するの当然だが,注目はその年の最多勝利馬。96,99年を除いた7年間で10頭が連対している。今年は5勝馬のラインクラフトが該当する。
◎…ラインクラフトとエアメサイアの2強対決に割って入れば2歳女王のショウナンパントルだ。休養明けの前走紫苑Sで0秒1差の2着。道中後方から内々をロスなく追走できたが,直線では外目に出せず。坂を上がって前が開くと猛追したが,大勢が決した後,完全に脚を余した。勝利は逃したがようやく,G1馬らしい末脚が戻った。春クラシックの無念を晴らす態勢は整った。
○…相手はラインクラフト。ローズSはゴール前でエアメサイアの強襲から2着に敗れたが,着差はわずか半馬身。勝ちに行っての結果だけに内容は濃い。前走はマイルまでの経験しかなく,初の2000Mで行きたがる面が見られた。休養明けをたたいて,距離も2度目。史上初の変則「3冠牝馬」も夢ではない。
▲…エアメサイアはローズSで好位集団の6番手から豪快に差し切った。ラインクラフトを目標にする展開の利はあったが,レース最速の上がり3ハロン34秒2の末脚を見せ付けた。桜花賞は4コーナーで外に振られる不利。オークスの勝ち馬シーザリオは米オークスを圧勝と,春のクラシックはツキもなかった。最後の1冠に全力投球の「執念」にかける手は十分ある。
△…ライラプスはローズSで上位2頭に離されたが,3着に食い込んだ。上がり3ハロン34秒8は2着のラインクラフトと同タイム。位置取りの差が着順に出たようだが,次走につながる末脚を見せた。高速決着では出番はないが,時計のかかるような道悪馬場になれば首位戦線に一気に躍り出る。
△…エイシンテンダーは4カ月ぶりの前走ローズSで逃げて7着。馬体はマイナス10キロですっきりしていたが,久しぶりの影響か道中はいつもより行きたがっていた。今回もメンバー構成,1番枠で単騎で先頭に立つのは間違いない。たたき2戦目,平たんコースでどんな粘りを見せるか。
△…デアリングハートは桜花賞3着,NHKマイルC2着。春の実績から前走のクイーンSで1番人気に推されたが,道中勝ち馬と接触する不利などもあり4着に敗れた。初距離,初の古馬との戦い,さらに追い込み有利の展開を考慮すればそんなに悲観する内容ではない。ただ,過去9年で1勝馬が連対したことはなく,距離も前走より長い2000M。ここは連下の評価が妥当か。