淀の3200Mを舞台に行われる,古馬最長距離のG1レース。本命馬不在の大混戦となった。
過去10年,連対馬は4??6,3??1,2??1,2??10,1??3,1??3,1??3,2??3,7??8,10??4番人気の組み合わせで決着した。02年までの8年間の馬連最高は4770円と比較的平穏に収まっていたが,この2年は馬単で3万馬券と7万馬券が飛び出している。いずれもフルゲート18頭立てで,強力な軸馬の不在などが波乱の要因と見られる。
連対馬20頭すべてが重賞をステップに参戦。路線別は9連対の阪神大賞典(G2)組がトップで,日経賞(G2)組6連対,大阪杯(G2)組2連対が続いている。相性抜群の阪神大賞典組の成績は1,1,1,1,2,1,2,2,10着。前哨戦の1,2馬には警戒したい。
年齢別は4??7歳上馬が57,46,28,16頭出走して9,9,2,0連対。4歳と5歳が他世代を引き離している。関東馬40頭と関西馬107頭で戦い,7対13。連対数で関西馬がリードしているが,率で関東馬が上回っている。スタミナ勝負の長距離戦。優勝馬を見てみると延べ8頭が菊花賞(G1)1??3着馬(2頭は未出走馬)。今年はザッツザプレンティ(1着),ヒシミラクル(1着),リンカーン(2着)が該当。データ的にはこちらもマークが必要か。なお,牝馬の参戦は3頭と少ないこともあるが,ここまで1頭も連に絡んでいない。
◎…ヒシミラクルで勝負する。京都記念は道中内々で折り合い,直線馬群を割って3着に突っ込んだ。距離不足,60キロの酷量を背負ってG1・3勝の地力を見せた。過去3回の奇跡は10,7,6番人気で起きた。春の盾に照準を合わせてきたミラクルが4度目の頂点に立つ。
○…ハーツクライは久々の前走,大阪杯で4コーナー最後方からレース最速の上がりで追い込み2着。昨年のジャパンC(G1)は10着,有馬記念(G1)9着。馬体が減り続けて力を出し切れなかったが,ダービー2着時の上がりはキングカメハメハより1秒近く速かった。G1級の決め手を備えている。
▲…アイポッパーは準オープン,オープン・万葉Sを連勝して,前走阪神大賞典でクビ差2着。直線リンカーンとの叩き合いを制して連を確保した。京都コースは6戦して4勝,2着2回。重賞は未勝利でもステイヤーの資質は高く,上がり馬の魅力も十分だ。
△…サンライズペガサスは1年3カ月の休養明けを2度使われた前走の大阪杯を快勝。完全復活をアピールした。4歳春の大阪杯で重賞初勝利。秋の天皇賞でシンボリクリスエスと0秒1差3着に健闘した。2度の長期休養でG1に手が届いていないが,パンとすれば能力は互角だ。
△…シルクフェイマスは前走の京都記念で苦手の道悪に持ち味を殺され10着。3走前の天皇賞(秋)も渋った馬場で10着と敗れた。しかし,良馬場の昨年の天皇賞(春)3着,宝塚記念2着,有馬記念3着。天候ひとつで首位戦線に浮上できる。
△…穴を出せばアドマイヤグルーヴ。前走大阪杯は牝馬に過酷な57キロ。同斤量でサンライズペガサスの4着に敗れたが,今回は56キロに減量される。昨秋の天皇賞ではゼンノロブロイと0秒4差3着。ここ10年牝馬の連対はないが,天才武豊とのコンビだけに女傑の大駆けがあっても驚けない。