7戦7勝のディープインパクトが,史上初の無敗4冠と現役最強馬の称号をかけて,初めて古馬に挑む。新馬戦からの圧勝劇ですでに社会現象にすらなっているインパクトに,日本中から熱い注目が集まる。早速,過去10年のデータでレース傾向を見てみたい。
連対馬は6??5,1??3,4??1,4??3,1??2,1??2,3??13,2??13,1??4,1??3番人気の組み合わせで決まった。1番人気は6連対で信頼度は微妙だが,優勝馬の9頭までは4番人気以内。フロックで勝てるレースではない。馬連は6回が1000円台以内の人気サイドで,4000円台2回と万馬券2回となっている。
ステップは9連対のジャパンC組がトップで,現在6年連続で連対中。次いで天皇賞(秋)組と菊花賞組が3連対で続いている。
年齢別は3??7歳馬が6,9,3,1,1連対。4歳馬が世代をリードして,3歳馬が追っている。性別は牡馬が連対馬の20頭すべてを占め,ここまで17頭出走した牝馬は3着に2頭が食い込んだだけとなっている。関東馬VS関西馬は53頭と88頭で争い,9対11。関東馬は4連勝中で,連対率でも関西馬を上回り有利に見えるが,連を独占したのは1回のみ。東西間の格差はないとみていい。
◎…リンカーンで勝負する。前走ジャパンCは中団の内で脚をためて,直線鋭く伸びて4着。直線で進路が狭くなる場面がありながら,良績のない東京コースでの0秒3差は大きな収穫だ。今回は5勝すべてを挙げている右回り。有馬記念は3歳時にシンボリクリスエスの2着に健闘した。中山2500Mは力を出し切れるベストの舞台だ。
○…相手はディープインパクト。馬券的な妙味が薄く狙いを下げたが,3冠馬が古馬と2キロ差の55キロで出走できるのは大きなアドバンテージ。無敗で4冠を達成する可能性は十分にある。しかし,過去に何度となく波乱を演じたドリームレース。あっと驚くシーンがあっても驚けない。
▲…今回で4回目の挑戦になるタップダンスシチー。前走ジャパンCの2000M通過タイムの1分57秒7は,2年前にシンボリクリスエスが天皇賞(秋)でマークしたレコードを0秒3上回るハイペース。それで坂下まで先頭を譲らなかった。8歳でも衰えを全く感じさせない力走ぶりで,グランプリで2度2着の実績も侮れない。
△…実績ならゼンノロブロイが一番。昨秋,古馬のG1ロードを3連勝して,今年グランプリ連覇を目指す。天皇賞(秋),ジャパンCは勝ちに行って2,3着に敗れたが,レース内容は悲観するものではない。今年勝ち星がないのは気になるが,連覇のチャンスはある。
△…前走ステイヤーズSで復活を果たしたデルタブルースとペリエのコンビも不気味だ。昨年ゼンノロブロイに騎乗したペリエは,逃げるタップダンスシチーをマーク。直線で差し切って有馬記念3連覇を果たした。タップダンスシチーのしぶとさとゼンノロブロイの強さを知り尽くしている。菊花賞馬のスタミナと名手の手綱さばきは軽視できない。
△…前走のハーツクライは直線まで仕掛けをがまんして,内から馬群を割って急追したが鼻差の2着。昨年のダービー,今年の宝塚記念に続く3回目のG1銀メダルだった。中山コースはこの馬向きとはいえないが,タップダンスシチーが飛ばす速い流れは確実。ペース次第で出番はある。