1937年,現在の天皇賞が創設されてから初めて,天皇,皇后両陛下が観戦されることとなった第132回の天皇賞(秋)。両陛下は当日,同競馬場内にあるJRA競馬博物館で開催されている特別展「栄光の天皇賞展」をご観賞。武騎手らと面会した後,レースを観戦される。
さて,ディープインパクト一色の菊花賞とは対照的に,G1馬8頭が参戦する大激戦になった。過去10年のデータでレース傾向を見てみたい(02年は中山開催)。
1??3番人気は5,4,2連対。上位人気はほめられる成績ではないが,連対20頭中17頭を5番人気以内が占めている。しかし,99年と04年に2けた人気が2着に食い込んで馬連1万5770円,8210円と荒れたように,伏兵馬の台頭には警戒が必要だ。
連対馬20頭すべてが重賞(地方交流戦を含む)をステップに出走。内訳はG1が4頭(1,5,2,4着),G2が15頭(4,6,3,4,1,1,4,7,6,1,1,1,1,1,2着),G3が1頭(1着)。連対馬の17頭までが掲示板に載る好走を見せていた。路線別では7連対の京都大賞典組が1位。これに毎日王冠組4連対,宝塚記念組2連対と続く。ただ,前々走を見ると,宝塚記念の出走馬が10頭おり,これを加えると同組からの連対馬は計12頭となる。京都大賞典組がベストのステップだが,その年の宝塚記念出走馬にも注意が必要だ。
年齢別は3??7歳上馬が11,55,57,25,13頭出走して4,10,4,1,1連対。中心は10連対の4歳馬になるが,連対率を見てみると36.4%,18.2%,7.0%,4.0%,7.7%と,連対率で他世代を大きくリードしている3歳馬をノーマークにはできない。
◎…テレグノシスは前走,4コーナー13番手からレース最速の上がり32秒6で2着に突っ込んだ。前残りの流れの中,馬群を割りながらで素晴らしい伸びをみせた。昨年は道中外々を走らされ,直線も大外の位置取りでロスの多い競馬,さらには道悪も影響して11着に敗れた。5勝を挙げているベストの舞台・東京で反撃を期す。
○…スイープトウショウは牡馬相手に安田記念2着に続き,宝塚記念を見事に差し切った。秋初戦の毎日王冠は6着に敗れたが,余裕残しの馬体,馬場入りを嫌がるなど前走はあくまでもトライアルと割り切りたい。97年のエアグルーヴに次ぐ史上2頭目の牝馬による2000Mの天皇賞制覇も夢ではない。
▲…セントライト記念を制したキングストレイルが古馬に挑戦状をたたきつける。ここ10年で11頭が出走して4連対。連対率36.4%と世代トップの高率を誇っている。藤沢和雄きゅう舎はバブルガムフェロー(96年),シンボリクリスエス(02,03年)で頂点を極め,このレースとの相性も抜群にいい。伸び盛りの良血3歳馬という魅力も大きい。
△…昨秋,古馬3冠(天皇賞・秋,ジャパンC,有馬記念)を制覇したゼンノロブロイが再び偉業達成に挑む。宝塚記念は4コーナーで少し窮屈になる不利から3着に,前走・英国インターナショナルSではクビ差の2着に終わった。ツキもなかったといえるが,今年はまだ1勝も挙げていない。しかも,海外遠征帰りの初戦とこれもマイナス材料。人気面を考慮すれば連下の筆頭までと見たい。
△…リンカーンは京都大賞典を快勝,負けると天皇賞(秋)への出走を絶たれる崖っぷちから見事はい上がった。ここで気になるが前走の反動。究極の仕上げで全力投球した後にお釣りがなくなるケースはよくある。3冠ジョッキー武豊騎乗で人気を集めるここは抑えに回したい。
△…ルメールとのコンビでハーツクライが初G1制覇を狙う。宝塚記念でゼンノロブロイを抑えて2着と好走,昨年のダービーでも2着の実績がある。4カ月ぶりのぶっつけ本番,展開に左右される脚質は不安だが,得意の東京コースなら大駆けがあっても驚けない。