今年は桜花賞の1,3着馬が出走しない。ちょっとさみしいが,その分より多くの馬にチャンスが広がり,馬券も難解になった。過去10年のデータでレース傾向を占ってみたい。
1??3番人気は3,3,1連対。上位人気の信頼度は低く,代わりに6番人気以下から6頭が連に絡んでいる。馬連3けた配当で決まったことは一回もなく,目下,3年連続で万馬券が出ている。3歳の乙女たちにとって未知の2400M戦。ここまで形成された力関係がアテにならず,距離適性も測り切れないことなどが波乱の要因になっているようだ。
ステップは桜花賞からの直行馬が15連対と圧倒的な強さを見せ,フローラS(G2)組と忘れな草賞組から各2連対,チューリップ賞組1連対。G1組は前走成績に関係なく巻き返しているが,他路線組は3着以内が連対への条件となっている。
勝利数別は1??3勝馬が2,9,9連対。1勝馬の2頭は桜花賞2,3着の実績馬で,ともに重賞での連対経験があった。キャリアは連対20頭中19頭までが4??8戦。該当しない1頭は9戦だった。キャリアの浅い馬や逆に使いすぎの馬は減点対象としたい。
関東馬は58頭で6連対,関西馬が118頭で14連対(ほかに地方馬1頭)。関西馬が連対数で関東馬に水を開けているが,率で見ると大きな差にはなっていない。決め手は逃げ,先行馬が4連対。差し,追い込み馬16連対。直線525.9Mの東京が舞台だけに,差し,追い込み馬の活躍が目立っている。
注目したいのは馬体重。連対馬20頭中14頭は450キロ以下で,優勝馬に限ると8頭までがこれに該当する。また,目下4年連続で1,2着を独占し,大型馬は苦戦している。
◎…前走,ライラプスは中団後方で折り合い,直線外から鮮やかに差し切った。良馬場と重馬場を経験して,東京コースは2戦2勝。過去10年スイートピーS組が連に絡んだことはないが,クイーンC(G3)の優勝馬はここ2年連続で連対中。追い風のデータもある。
○…桜花賞馬の不在でシーザリオが一躍脚光を浴びた。前走は勝負どころで馬群に包まれたが,直線は馬群をさばいてラインクラフトに頭差まで迫った。4戦3勝,2着1回と連対率100%。“樫の女王”の最短距離にいるが,直線の長い東京であの決め手を再現できるかどうかがポイントとなる。
▲…前走フローラSでディアデラノビアは直線一気の差し切りを見せた。4コーナーではとても届かないと思われた位置からオークスへの出走権を勝ち取った。鞍上デザーモは01年にレディパステルとのコンビで,外国人初のクラシック制覇を達成した。同騎手は今季JRAで56戦して,14勝,2着10回。連対率は4割2分。上位2頭をまとめて破れる下地は持っている。
△…エアメサイアは桜花賞で五分のスタートを切ったが,外枠15番が響いて終始外々を回るコースロス。4コーナーでも大外に振られたが,2着シーザリオと0秒4差4着でゴールした。スピードだけでなく,パワーの要求される東京コースで通用する地力を備えている。
△…前走ジョウノビクトリアは後方の内でじっくり脚をためた。直線で外からシーザリオに次ぐ上がりで追い込んだが,0秒7差7着。距離不足のマイルで次走につながる末脚は見せた。ジワジワの追い込むタイプだけに東京コースは相性バッチリ。
△…穴を出せばエリモファイナル。桜花賞は後方で待機。直線勝負にかけて内から鋭く伸びたが,前が壁になり馬群をさばき切れなかった。それでも1秒差まで迫った。マイルまでの経験しかないが,血統からは距離延長に全く問題ない。前の止まる流れになれば一気に首位争いに浮上する。