春のクラシック第1弾は3歳牝馬による「桜の女王」決定戦。今年は初めて重賞ウイナー7頭が参戦し,うち2頭は3戦3勝の無敗馬。近年まれに見るハイレベルの戦いとなった。ここでは95年の京都開催を含む過去10年のデータでレース傾向を探ってみたい。
1??3番人気は2,3,3連対。上位人気は不振で,代わりに6番人気以下から2けた人気馬4頭を含めた8頭が連に絡んでいる。伏兵馬の台頭で馬連3けた配当はわずか1回。半数の5回は8000円以上の高配当で,うち3回が万馬券となっている。人気馬の過信は禁物だ。
連対馬の前走は重賞16頭,オープン3頭,500万条件1頭。そこでの成績は1??4着馬5,4,3,6頭と8,10着が各1頭。前走で掲示板を外している馬は苦戦している。路線別はチューリップ賞(G3)組9頭,フィリーズレビュー(G2・旧4歳牝馬特別)組5頭,アネモネS3頭。東西のトライアル組が断然の成績を残している。
連対20頭中17頭はキャリア3??7戦。2戦以下の戦績の浅い馬や8戦以上の馬には割引が必要だ。地方出身の2頭を除く18頭の勝利数別は,1??4勝馬が3,8,4,3連対。1勝馬は3連対しているが,優勝は95年のワンダーパヒュームただ1頭。2勝以上を挙げていることが理想か。
関東馬VS関西馬は2対18。関西馬が関東馬を圧倒している。勝利数でも関西馬が目下10連勝中で,関東馬の優勝は87年のマックスビューティまでさかのぼる。3戦3勝で西下するダンスインザムードが勝てば連敗記録が17で止まる。
外国産馬マルターズヒートで勝負する。フィリーズレビューはいつもの先行策から一転,後方待機の競馬。直線大外を回ってレース最速の上がり33秒台で2着に食い込んだ。前走は本番に向けて脚を測った正にトライアル戦。武豊からバルジューに騎乗変更となるが,暮れにフェアリーS(G3)を圧勝したコンビ復活なら問題はない。外国産馬に門戸を開放した元年に,史上初となる外国産馬の桜の女王が誕生する。
強敵は3戦3勝のダンスインザムード。関東馬18連敗阻止の期待を一心に西下する。やや相手に恵まれたとはいえ,一杯に追うところなく連勝記録を伸ばしている。底知れない潜在能力を秘める一方で,もまれたときの不安は払拭できない分,対抗に留めた。
スイープトウショウは,5戦4勝と出走馬中最多の4勝をマークしている。阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で直線詰まって初の黒星(5着)となったが,着差は0秒2。どんな流れでも上がりは確実に34秒台前半の脚は使う。今回は先行馬がそろっており,展開はさらに向く。馬群さえさばければ,まとめて差し切れる。
もう1頭の3戦3勝馬ムーヴオブサンデーも差はない。前走フィリーズレビューは,3番手追走から直線楽々と先行馬を捕らえて快勝。前本命馬に0秒2先着したが,好位3番手とどん尻強襲という位置取りのアドバンテージも大きかった。マイル初体験で連下の評価にしたが,力量差はない。
レディインブラックは,アネモネSで繰り出した上がり34秒の末脚も脅威。前走は後方の内で折り合い,直線最内から馬群を割って後続を3馬身半突き放した。勝ち方が地味で人気が出ないが,切れ味ならここでも互角。初の長距離輸送で馬体減りがなければ上位争いになる。
穴を出せばアズマサンダース。チューリップ賞は勝負どころで一旦後退したが,直線盛り返して2着に食い込んだ。スイープトウショウの決め手には屈したが,2歳女王のヤマニンシュクルには先着した。1勝馬でも牡馬相手の重賞2着など戦歴の密度は濃い。