84年に創設された秋のマイル王決定戦。11年連続で1番人気が連対して,かつては最も堅いG1レースといわれた。ところが,ここ3年は1番人気は掲示板にすら載らない不振ぶり。「3連単」元年の今年はどうなるのか。過去10年のレースから傾向を見てみたい。
1??3番人気は5,4,1連対。上位人気はアテにならず,代わりに6番人気以下から5頭が連に絡んでいる。伏兵馬の台頭で馬連は万馬券が3回出ているが,7回は3240円以内。荒れるか堅いかの両極端になっている。
連対馬の前走は重賞17頭とオープン特別3頭。路線別は前半5年で活躍を見せていたスワンS(G2)組(4連対)とアイルランドT組(3連対)が近年振るわず,この5年は天皇賞(秋・G1)組が3連対,スプリンターズS(G1)組,毎日王冠(G2)組,富士S(G3)組などが2連対で活躍している。
重賞実績は,連対馬20頭中19頭が重賞馬で,うち14頭はマイル戦で勝利を挙げている。また,17頭がG1出走経験を持ち,10頭はすでにG1ウイナーだった。マイル実績とG1経験は連対への重要なファクターとなっている。
年齢別は3??6歳馬が40,50,43,38頭出走して,5,10,3,2連対。4歳馬が他世代をリードしている。性別を見ると,牡馬147頭と牝馬24頭で争い,16対4。連対数で牝馬は劣勢に回っているが,率で逆転している。
関東馬は44頭出走して8連対(18.2%),関西馬が125頭で12連対(9.6%)。関東馬は連対数で見劣るが,率で関西馬を大きく上回っている。なお,昨年初めて参戦した外国馬2頭は9,16着に惨敗している。
ダンスインザムードで勝負する。秋華賞はイレ込みが激しく4着に敗れたが,天皇賞(秋)で2着。古馬最高峰の舞台で牡馬一線級を相手に堂々と連を確保した。マイルは桜花賞で圧勝を演じている自信の距離。前走騎乗のルメールとのコンビでG1を奪取する。
昨年の覇者デュランダルは高松宮記念(G1),スプリンターズSといずれも2着。今年勝ち星はないが,昨年のスプリンターズSとマイルCS(G1)を連勝して,目下G1を4連対中。G1勝ち2つの実力で,良馬場なら確実に上がり33秒台の末脚がさく裂する。相性の良い京都のマイルが舞台ならば連覇が期待できる。
ファインモーションは札幌記念を快勝して復活をアピールした。武豊騎手で出走予定のエリザベス女王杯(G1)は騎乗調整がつかずに回避。1週遅れのマイルCSへの出走となったが,仕上げに問題はなさそう。昨年当レースで0秒1差2着の力量。京都コース,得意のマイルならば力を出し切れるだろう。
主戦・勝浦から横山典へ乗り替わったテレグノシスが怖い。春は安田記念(G1)でツルマルボーイとクビ差2着。秋始動の毎日王冠を豪快に差し切った。前走・天皇賞(秋)は道悪,距離2000Mで11着に凡走したが,ここはNHKマイルC(G1)を制覇した得意の距離。良馬場なら雪辱を期すシーンは十分にある。
前走に富士Sを快勝して勢いに乗るアドマイヤマックス。昨年は短距離路線で,レコード決着の安田記念でクビ差2着,スプリンターズSで0秒2差3着,続く香港マイル(海外G1)でも0秒3差4着と健闘した。G1級の瞬発力を備えていることは疑いもなく,復活を遂げた素質馬が頂点を奪っても驚けない。
イギリスから参戦のラクティが日本で6つ目のG1制覇を狙う。イタリアダービーに優勝し,母国・イギリスの2000MのG1で4戦して2勝。中距離に良績が集中していたが,前走・クイーンエリザベス2世S(海外G1)で初のマイルG1を制覇した。日本馬との力比較は難しいが,長距離輸送の反動や環境に戸惑わなければ首位争いになる。