春のG1シリーズも中盤戦に突入し,今週は現役最強馬を決める天皇賞(春)が,淀・京都競馬場で行われる。G1最長の3200Mの伝統レースに,昨年の3歳クラシック戦線を賑わせ,菊花賞(G1)で1??4着を占めた4歳4強がそろって駒を進めてきた。菊花賞上位4頭がそろって出走するのは,1958年以来46年ぶりの3回目。過去2回はいずれも菊花賞の連対馬が優勝しているが…。早速,過去10年(94年は阪神競馬場)のデータでレース傾向を探ってみたい。
1??3番人気は6,4,5連対。上位人気馬は好調で,この3頭の組み合わせで決まった馬連は7回もある。昨年こそ万馬券決着になったが,6回は3ケタ配当で残る3回も5000円以内。基本的には平穏に収まっている。
ステップは阪神大賞典(G2)組の活躍が目覚ましく9連対。次いで日経賞(G2)組5連対,大阪杯(G2)組2連対となっている。連対馬20頭の前走はすべて芝レースで,距離は2500??3000M16頭と1800??2200M4頭。前哨戦がダートや中距離からの参戦馬は減点対象としたい。
重賞実績は,優勝馬8頭がこのレース以前にG1を制覇していた。また,連対20頭中18頭がG1に出走し,うち15頭は連対経験があった。G1実績は連対への重要なファクターとなっている。
年齢別は4??7歳上馬が52,43,30,15頭出走し,それぞれ10,8,2,0連対。また,優勝馬は4歳6頭,5歳3頭,6歳1頭。スタミナの要求される持久力戦だけに,生きのいい4歳と5歳馬が活躍し,6歳以上馬は苦戦している。
関西馬は7勝,関東馬が3勝。連対数は15対5。勝利数,連対数ともに関西馬が関東馬を圧倒している。
ゼンノロブロイが巻き返す。日経賞はスタート直後に行きたがったが,すぐに折り合い流れに乗った。ただ,勝負どころで内に押し込められ動くに動けず。直線で良い脚を見せたが,クビ差まで迫ったところがゴールだった。前走は逃げ切ったウインジェネラーレの術中にはまったといえる。昨年の有馬記念(G1)はシンボリクリスエスには離されたが,リンカーンとは0秒1馬差。ザッツザプレンティに先着して3着を確保した。G2・2勝の実力,現役最強馬の資質は十分備えている。
相手は阪神大賞典でリンカーンと叩き合ったザッツザプレンティ。道中はスムーズに折り合ったが,直線決め手の差が出て2着に敗れた。スローの流れ,負担重量2キロ差のビハインドの影響もあった感。昨年の菊花賞ではリンカーン,ネオユニヴァースを一蹴して優勝しており,スタミナ勝負は望むところで逆転も十分可能だ。
シルクフェイマスは1000万条件からスタートして目下5連勝中。ここ2戦で,G2の日経新春杯と京都記念を連覇しているだけに中味も濃い。一線級とは初対決,距離未経験,G1も初出走と初物づくしで不安も多いが,底を見せてない魅力も大きい。
リンカーンは阪神大賞典で悲願の重賞初Vを遂げた。重量56キロはザッツザプレンティに2キロのアドバンテージがあったとはいえ,快勝したレース内容は高く評価できる。G1実績はないが,平成の盾男・武豊騎乗は大きな魅力だ。
2冠馬ネオユニヴァースは前走で大阪杯を快勝。盾取りに好発進を決めた。手薄なメンバーのアタマ差辛勝だったが,4カ月ぶり,59キロを背負っての勝利だけに評価していい。もともと叩いて良化するタイプ。距離克服に課題はあるが,上位勢の一角を崩す能力は備えている。
ファストタテヤマは2??3歳時にデイリー杯2歳S(G2),京都新聞杯(G2)を快勝し,菊花賞2着と京都競馬場で好成績を残している。今年2戦の京都記念,阪神大賞典では結果を出せずにいるが,勝ち馬との着差はいずれも0秒3差。得意のコース,実績のある長距離なら大駆けがあっても不思議はない。