競馬の祭典,日本ダービー(東京優駿)。01年に誕生したサラブレッドは9015頭(外国産馬206頭を含む)。サバイバル戦を勝ち抜いてきた18頭が,夢の大舞台で3歳馬の頂点を目指して熱戦を繰り広げる。幾多の名勝負を生んできた府中の杜で,今年はどんなドラマが見られるのか。早速,過去10年のデータからレース傾向を見てみたい。
1番人気は6勝,2着3回,3着1回と堂々の成績を残している。2,3番人気も2,5連対の活躍で,6番人気以下の伏兵馬は3頭が連に絡んだだけ。特にここ5年は1??3番人気馬が連を独占し,馬連はすべて3けた配当。極端な穴狙いは得策ではない。
ステップは皐月賞(G1)組が12連対,次いで青葉賞(G2)組3連対。前走成績は連対馬の18頭までが3着以内で,該当しない2頭は6着だった。
キャリア3戦で優勝したフサイチコンコルドを除くと,19頭すべてが重賞ウイナー。その重賞勝ちが2歳時に限られるケースでは,3歳になってから一度は重賞で連に絡んでいる。ダービー馬に求められる条件は厳しく,その世代でトップの実績と実力が必要とされる。
連対20頭中16頭がキャリア5??10戦の範囲で,2戦馬1頭,4戦馬2頭,11戦馬1頭となっている。勝ち数は2??5勝上馬が3,12,3,2連対。1勝馬の連対はなく,2勝馬も連対率4.6%(65頭で3連対)では狙いづらく,3勝以上を挙げていることが理想か。関東馬VS関西馬は59頭と119頭で争い,4対16。関西馬が関東馬を一蹴している。
本命に松田国英きゅう舎のキングカメハメハを推す。NHKマイルC(G1)で2着以下を5馬身突き放して楽勝。良馬場発表でも力のいる馬場状態,ライバルたちが次々に直線で失速していく中,ただ1頭だけ次元の違う末脚でゴール板を駆け抜けた。マイルG1からダービーという変則ローテーションは,同きゅう舎では01年にクロフネ(1着→5着),02年のタニノギムレット(3着→1着)で経験済み。毎日杯(G3)を快勝しても皐月賞はパスし,中2週の強行日程で臨むのは当初の計画通り。もともと中距離志向で2000Mを2勝,2200M1勝の実績馬。2400Mの距離に問題はなく,変則2冠に王手だ。
対抗にキョウワスプレンダを抜擢する。皐月賞は13着に敗れたが,勝負どころから押し上げにかかった時に,前の馬と接触するアクシデント。ジョッキーが立ち上がる大きな不利があった。直線,立て直して追い込んできたが,すでに勝負付けが終わっていた。スプリングS(G2)でブラックタイドと1馬身差2着に接戦した素質馬。スムーズな競馬で大駆けがあっても驚けない。
皐月賞馬ダイワメジャーが絶好枠4番に入った。1勝馬の身で前走クラシック制覇の快挙を達成したが,ここも積極的なレースを進められる。前回コスモバルクの猛烈な追い込みに遭ったが,ゴールでは0秒2先着した。先行脚質で目標にされる不利はあるが,G1馬の底力は侮れない。
皐月賞で18番枠に入ったコスモバルク。前走は大外枠を考慮してスタートから無理せず,いつもよりも後方の競馬で脚をためた。直線,レース最速の上がりで追い込んできたが,スローの流れで2着確保が精一杯だった。騎乗した五十嵐冬樹騎手は,「前にいた馬が勝ったペース。僕の位置取りが悪かった」と悔やんだ。能力的には地方馬初のクラシック制覇を完全に射程圏に捕らえている。ただ,北海道からの度重なる長距離輸送の疲労が蓄積されていても不思議はなく,末脚不発のケースは考えておきたい。
京都新聞杯(G2)を勝って駒を進めてきたハーツクライ。前走は直線早めに抜け出した2着馬がそのまま押し切るかに見えたが,外から強襲を決めて半馬身先着した。直線に入ってからエンジンが全開したように,持ち味をフルに生かせる直線の長い東京コースは大歓迎だ。
ダービーと同じ舞台で青葉賞を快勝したハイアーゲーム。上がり33秒台をいつでもマークできる爆発力は魅力で,勝ちタイムも優秀。しかし,直近のトライアル勝利で馬券的に飛びつきたくなるが,マラソンに例えると1カ月に2度42.195キロを走るようなもの。調教は元気でも,目に見えない疲労がたまっていて不思議はなく,それを裏付けるように過去10年,青葉賞をステップにした馬は2着3回で,ダービー馬は出ていない。抑え評価が妥当とみたい。